デミテルは今日もダメだった【40】
全身が冷たい・・・
体が水底に沈んでいくのがわかる・・・
あの女の電撃でボロボロだ・・・
・・・・・・まだ死ねるか・・・死ねるものか・・・
憎しみをたぎらせろ
お袋と親父が死んだときの思いを
人間どもの身勝手で、金欲しさで何年も鎖に繋がれていた思いを
憎しみは
人を何倍でも強くできるはず・・・何だってできるようにしてくれるはず・・・
俺はずっとそうやって生きてきた・・・!!
第四十復讐教訓 「恩は売っとくと便利だったり厄介だったり」
人間という生き物には、皆役割を持って生まれてくると私は思う。この世に生
まれ落ちたということは、何かしらの使命を担い、落ちてくる。そう信じていた。
自分の人生の役割。そんな大それたもの、自分自身で何なのか見出だすのは不
可能に近い。人はまず皆、眼前の小さな目標、役目すら見つけるのが困難なのだ。
だが、少なくとも、目の前の目標なら私には見えていた。はずだった。
この、人さらいに徹する盗賊どもを、この私の華麗な魔術裁きで一蹴し、今こ
そ主人公の威厳をネットを通じ全世界に見せしめる。それが今、この瞬間に私が
すべき役割なのだ。
そう思っていたのに。
私が何かするわけでもなく。盗賊どもは木っ端微塵になってしまった。私はた
だ口をあんぐり開けてその様子をただひたすらに傍観。
そんな私を笑顔で見る、エプロン羽織ったライトニング・ガール。呆然とする
私に笑いかけながら、彼女は頭を深く下げ、丁寧にこう言った。
「助けて下さってありがとうございました♪」
助けたって・・・ぶっちゃけ私いなくてもよかったんじゃないのか?素手で三
十数人の屈強な男どもボコボコにするような奴に助けなどいるのか?というかも
う私を誰か助けてくれ。主人公としての威厳的なものが何にもないんだが私。
「・・・・・・ん。ふあ・・・・・・・・・あ♪デミテル様おはよぉ♪」
どうやらリミィが目を覚ましたようだ。あの馬鹿は馬鹿みたいにグースカピー
と寝ておったからに、つい今しがたまで起きていた地獄絵図のことなど微塵も知
るよしもないだろう。というかよくあの電気がほとばしるフラッシュの中、そん
な惰眠を貪り食うことができたなこの鈍感姫。
しかもだ。次にこのクソガキが言った言葉が
「あ♪リリスお姉ちゃん。リミィのこと助けてくれたのぉ?やっぱりお姉ちゃ
んは強いねぇ♪」
「ふふ♪ありがとリミィちゃん。」
リリスは笑顔でちょっと胸を張った。というかリミィ。何で私に対す一言目が
朝の挨拶で、その女に対す一言目が『助けけてくれたの』?待てコラ。私が盗賊
どもを倒したとは一片として勘潜らなかったのか?この、月照らす湖に盗賊達が
プカプカと浮き、私とそこの金髪女が立っている情景を見て、貴様が真っ先に思
い立ったのが『リリスお姉ちゃんが倒したんだ♪』?私が倒したんじゃないかと
言う疑問は全く限りなく無に近い勢いで思わなかったわけか?
ふざけるなぁぁぁ!!事実だけれども!!
・・・憂さ晴らしを決行する。
私はヅカヅカとリミィの元に突き進むと、
「痛い!!痛いよデミテル様ぁ!」
「やかましい!貴様のせいで今日一日の睡眠が持ってかれてしまったわ!それ
なのにお前と来たら何とも幸せそうに『睡眠』という名の快楽を満喫しおって!
貴様の今日一日睡眠によって得たエネルギーを私によこせ!!」
「ふぇ?どうやってあげればいいのぉ?あ♪わかったぁ♪きっとチュウで・・・」
「フンヌ!!」
「あいた!!」
私は再びリミィの頭をひっぱたいてやった。このカラッカラ頭が・・・
「・・・・・・勝利の余韻には浸ったか?」
「・・・え。」
リリスの背後から声がした。彼女の背後は湖では・・・
バシャアァァァア!!
水しぶきが月の光に照った水しぶきが噴き上がった。私は急いでリミィの襟首を
引っつかみ後ろに下がったが・・・
「・・・動くなよ。でねーとこの女の首が飛ぶぞ。」
現れたのは、緑色の髪に青いバンダナ。盗賊の頭と思われる男。体中が焼け焦
げてボロボロだったが、その目は全く死んではいない。
リリスの首に腕を回し、年季物のサーベルを喉に突き立てている。どういう執
念をしとるんだこの男。
・・・しかし。実際のところそんな一度しか会ったことのない、ほぼ他人に近
い女を人質に取られてもなぁ・・・もう、そこでくたばっている着ぐるみを着た
変なオッサンを引きずり森から出・・・
「ダメだよデミテル様ぁ!リリスお姉ちゃん助けなきゃダメぇ!」
「・・・はいはいわかった。どうせそう言うと思ったわ。」
さーて。来週のサ○エさんは・・・違う。どうするか。
「・・・貴様のお仲間は全滅したようだが。そこまでしてその女を売り飛ばし
たいのか。小僧。」
「・・・黙れ。」
盗賊の首領はこちらをギリギリと、まるで獲物を狙う鷲のように睨み付けていた。
デミテルはボリボリと額を掻いた。
「貴様一人でその女を売りにでも行くというのか。」
「黙れ。」
「賢い判断とは言えんな。その女の化け物じみた強さは貴様も見ただろう。隙をつかれて逃げられるのがオチ・・・」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇ!!」
バンダナ青年は何かを噛み締めるように叫んだ。ずぶ濡れで体はかじかみ、確
実に弱っている。しかし、目は狂気じみた光を宿していた。
何だってんだ・・・何だってんだよ・・・
俺が何した?俺は悪くない。ふざけるな。
親殺されて、人生狂わされて。こんな恐ろしい材料を二つ揃えてんだぜ俺は。
それなのに俺の『復讐』は日の目を見ないのか。
俺の人生を金の為に奪ったクソ人間ども。そのクソどもに俺は復讐しなきゃいけ
ないんだよ。アイツらにも同じ目を合わせてやるんだよ。
ある日突然、大切なモノが奪われる恐怖。絶望感。
もっと盗賊団でかくしてさ。もっと幅広い地域に勢力拡大して、もっとたくさ
ん拉致って。もっとたくさんの人間を・・・
俺と・・・同じ目に・・・!
「・・・・・・・・・もうやめろ。」
デミテルは淡々と言った。その目は異様に無表情だ。青年は睨みを利かせ続けた。
「いいから手を組んで後ろを向け。」
「やめろ。」
「話を聞けぇ!手を・・・」
「やめろ。」
「黙れぇぇ!!いい加減にしねえとこの女泣かす目に・・・」
「泣いているのは貴様だろうが。」
「え・・・?」
いきなり妙なことを言われて、青年は目をパチクリさせた。その途端、視界が
ブワッとぼやけ、同時に冷たい感覚が目の周りを襲った。
彼は泣いていた。無意識のうちに。目から頬を伝い、ポロポロと塩分を含んだ
雫が絶え間無く落ちている。
青年は一瞬わけがわからなくなった。今まで泣いたことなど、記憶の限りでは
今まで一度もないはずだ。親が死んだ時だって自分は泣かなかった。否、そもそも
何故今なんだ?何故今泣いている?
「・・・・・・寂しかったか。」
「え?」
デミテルが目を閉じ、ボソリと言った。青年は一瞬ポカンとしたが、すぐ我に
帰り、怒鳴った。
「寂しかった?んなわけあるか!!俺はずっと憎みだけ腹に持って生きてきた
!寂しさなんて抱いたことは一度もねぇ!あの日から!あの日から俺は十数年ひ
たすら憎しみを抱いて・・・」
「貴様の『あの日』が何なのか知らんが・・・」
デミテルはゆっくりと目を開いた。じっと地面を俯きながら。そして続けた。
「貴様の涙は間違いなく哀しみだ。憎さからではない。」
「何で赤の他人のテメーに・・・!」
「知っているさ。その涙の意味は。」
デミテルはギュッと唇を噛んだ。青年が拒否すればする程涙が溢れる姿は、胸
が苦しかった。
「貴様はただ、箱にしまっていただけだ。悲しみを。『憎しみ』と汚く名前を
書かれた箱の中に悲しみを入れて、それを憎しみと呼んでいただけ・・・貴様は
悲しみを憎しみと偽って生きていた。」
「んなことは・・・」
「貴様が一番最初に憎みを感じた時。それは何だ。貴様は本当はその時悲しか
ったはずだ。しかし、それを悲しみと受け入れたくなくて、無理矢理憎しみに仕
立てあげただけだ。」
「・・・・・・!」
俺が初めて憎しみを持った時?それは、親が殺された時?その時俺はあのハン
ター達を憎んで・・・
違うだろ。お前はあの時、ハンターが憎かったんじゃない。
お前は
ただ
『お袋と親父が死んだこと』が悲しかった・・・?
当たり前だ。目の前で親が殺されたら、悲しくなるに決まってる。
だが、俺は認めたくなかった。俺がここで悲しんだら・・・
泣いたら・・・
俺は弱く見られる。それが嫌だったんだ。
だから俺は、その時思った悲しみを憎しみに変えた。『憎しみ』と書かれた、
四角い、黒い、冷たい、ブリキの箱に悲しみを入れた。そしてその箱に入った悲
しみを憎しみを呼んで・・・
「憎しみを抱いたら、基本人間は復讐という行動に繋げる。最終的にはな。だが。」
デミテルは、フッと背を青年に向けた。
少しずつ、東の空が白み始めていた。
「悲しみを抱いた場合は、基本人間は泣く。最終的にはな。」
全く同じ涙を。私は流したことがある。
あれは父が死んだ日。炭鉱で働き、肺を悪くし、ポックリと父が死んだ日。
こ汚い棺を見下ろして、私は歯を食いしばっていた。
今まで散々意味もなく殴って。ぶっきらぼうに接して。毎日酒飲んで。アンタ
が父親で良かったなんて、思ったことなどない。俺がアンタにあるのは憎しみだ
けさ。
そう・・・俺は親父が憎い。出来れば一発ぶん殴りたい。大人になったらそうす
るつもりだったのに。
アンタとのいい思い出なんて一つも・・・一つも・・・
一つも・・・
いつの間にか、私は泣いていた。棺にポロポロと涙を落として。
憎かった。確かに憎かった。だけれど・・・
父のことが、好きだった。だから、悲しみが私を襲った。その襲ってきた悲し
みに私は
憎しみという名の蓋をした。
「今の内に泣いておくがいい。今まで泣かなかった分な。」
デミテルは元来た森へと足を進めた。背後で、サーベルを下ろす音がした。
そして聞こえた。
十数年において、内にある悲しみに向き合うのを拒否し続けていた、青年の涙あ
る声が。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「本当にありがとうございました!!」
「・・・そのセリフは前にも聞いた。」
「あ。そうでしたよね。えへへ♪」
デミテル達は森を抜け、平原へと出ていた。すぐそこには、フレイランドへ向
かう為の船がある小さな港が見える。
リリスは何度も何度もデミテルに礼を言っていた。あまりにも何度も頭を下げ
てくるのでデミテルも釣られて何度か頭を下げてしまう程だった。ジャミルはデ
ミテルの肩の上でちょっとビビりながらリリスを見ていた。
こんな礼儀正しい女が盗賊ボコボコにして吹っ飛ばすって・・・つーかもうダ
オス様より強い気がしてしょうがないんだけど・・・
スペクタクルズ無しでその事実に気付くジャミルであった。
デミテルはハァっとため息をついた。というかこの男、この小説が始まって以
来何度ため息をつくのであろうか。
「財布を無くすは、かどわかしに遭うわ。一体どれだけ不幸なんだお前は。も
う実家にでも帰って兄と静かに暮らしたらどうだ。」
「はい♪将来はそのつもりです♪」
「・・・・・・。」
とびっきりの笑顔で断言しおったわこの女・・・これは将来コイツの兄に結婚
はないな・・・これがブラコンか・・・
デミテルは軽い恐怖に襲われた。
「ところでどうしてお姉ちゃんは一人で旅をしてるのぉ?」
「え?」
リミィは首を傾げながら、リリスの肩までフワフワ浮きながら尋ねた・・・・
・・ってえ?浮いてる?
「ば、リミィ!?人前で浮くな馬鹿・・・!」
「あ!リミィちゃんてモンスター何ですか?やっぱり!何だか違和感があったんですよ♪」
「え?」
リリスが何のリアクションもなく受け入れたので、デミテルは目をパチクリさ
せた。
「私以前、モンスターに人捜しを尋ねられたことがあって・・・その時から思
ってたんです!この世界のモンスターはいいモンスターと悪いモンスター両方い
るんじゃないかって!ジャニズってモンスターに皆さんのこと聞かれたんですが
、お知り合いですか?」
「・・・知らんな。あんな年金問題で熱い議論が出来る奴など。」
ここでジャニズという、正直どーでもいい奴の名前が出てきたので、デミテル
は適当に流した。それよりも、ジャニズの数兆倍気になることがあった。
『この世界のモンスターは』・・・?どういう意味だ?
「・・・あ。それで私が旅をしている理由なんですが・・・」
ここで、リリスは自分のエプロンのポケットを見下ろした。
何か不釣り合いなものが、デミテルは一瞬見えた気がした。フライパン、オタ
マなどはまだ許せたが
柄。真っ赤な剣の柄が一瞬垣間見えた気がする。まるで炎そのもののような真
っ赤な・・・。
「私は捜しているんです。私より強い人を。」
「私より強い人?」
「アンタより強い人ですって?」
「お姉ちゃんより強い人ぉ?」
いや・・・いないだろ・・・
ダオスという上司がいること前提で、デミテルとジャミルは思った。
リリスは目をギュッと閉じると、こう続けた。
「私より強い人を見つけだして、その人に会って、そして・・・」
「じゃあ一緒に捜そうよぉ!!リミィ達と一緒にぃ!!」
「え?」
「は?」
物凄い頭の悪いことをまたこのアホガキは言い出した。と、ジャミルとデミテ
ルは気付いた。やはりこのガキは売り飛ばされれば良かったな、とさえ思えた。
とにかく言っていることの頭が悪すぎる。
「おいリミィ。いいか。我々の目的は復しゅ・・・ゴホン。とにかく、我々と
この女の掲げる目標が向く方角は天と地ほどにズレている。行動を共になど・・
・」
「そうよリミィちゃん。気持ちは嬉しいけど、きっと迷惑になる・・・」
「でもお姉ちゃん、前にリミィ達を助けたい、御礼したいって言ったよぉ?これが一番御礼が
しやすい近道だよぉ!」
単にお前が連れて行きたいだけだろうが・・・大体これ以上人数増えたら食費
がだな・・・
「・・・・・・そうかもしれませんね。」
「え?」
デミテルはヒヤリとしてリリスを二度見した。リリスは地面は踏み締めるよう
な視線で見つめている。港から汽笛のような音が一帯に響いている。
「二度も助けて貰っておいて、何も御礼が出来ないままなんて・・・そのうえ、これから先出会えるかもわからない・・・」
「いや大丈夫だぞ。きっと出会えるぞ。うん。」
デミテルは心にも無いことをなだめるようにしながら急いで言った。この物凄く嫌な方向に進んでいる流れに終止符を討たねばなるまい。このままでは・・・
「次会った時に何か礼をしてくれればいい。だから・・・」
「何か恩に報わなければ・・・」
「いやいや。本当にそんなのいいんだよ?こ、こちらはただ善意のままに動い
ただけなんだから?」
「悪人が善意のままに動いてどうすんのよ・・・」
ジャミルの真っ当な意見を、聞くものはいなかった。そして
「・・・デミテルさん!お願いです!私を・・・」
「ちょっと待て!早まるな・・・」
デミテルの拒否の言葉は、最後まで言い切ることもなく終りを迎えた。
「私をご同行させて下さい!!御礼をする為に!」
「・・・・・・。」
「お願いします!」
「ちょ・・・」
「お願いします!!」
「待っ」
「お・願・い・し・ま・す!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・好きにしろ。」
これ何か別の意味合いで脅迫じゃね?などと疑問に思いながらも、デミテルは
ガックリと肩を落として了解した。聞こえるのはリミィの歓声の声だけである。
どうやらかなりリリスのことを気に入っているらしい。
「ありがとぉデミテル様ぁ!ねぇね!歓迎会やろぉよぉ!!二次会はカラオケ
で・・・」
「二次会のことまで心配せんでいい・・・というか一次会そのものすらやる予
定は無いわぁ!!」
「・・・・・・・・・はぁ。」
自分の翼に顔を埋めながら、ジャミルはハァーと、それはそれは長い溜め息を
ついていたそうだ。
「というわけで!今までの御恩をお返しする為に、今日からついて行くことに
なりました!リリス=エルロンです!宜しくお願いいたします!趣味はお兄ちゃ
んです!!」
「・・・『趣味はお兄ちゃん』てどういう意味だ・・・」
「まったく・・・ロリコンとブラコンのパーティてどんなパーティよ・・・」
「一緒にするな・・・というか私はロリータコンプレックスではないと何度口
をすっぱくして言えばぁ・・・!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・まあ今回は相手が悪かったんですよ。落ち込まないでくだせえ、お頭。」
人気の無い森道を、数十人の男達が力無く歩いている。皆服のところどころに
焼け焦げた箇所が垣間見え、ボロボロのボコボコである。
だが、逆にあんな目に遭って誰一人死んでいないというのも恐ろしい話である。もっとも、ニ、三人は未だ白目を剥いたままズルズル引きずられているが。
頭のバンダナの男は先頭を率いて歩いてはいたが、ずっと俯いたままだ。小太
りの男は、どうにか元気づけようと必死であった。
「あのアレ!アジト帰ったらエキサイトバイクやりませんか?あ?それともス
ーパーマリオやります?」
「・・・なんでうちのアジトのゲームのスペックは何もかもファミコンスペッ
クなんだよ。せめてスーファミ置いとけ。」
「す、すんません・・・あ。じゃあインベーダ・・・」
「・・・なあ。」
ここでようやく、バンダナ青年は顔を上げた。その表情はいつになく穏やかだ。
「お前らにとって・・・俺は何だ?」
「え?何って・・・子分と親分的な関係です。」
「・・・そーさな。」
青年はゆっくり目を閉じ、納得した。
その時
「・・・でも。俺達はそれ以上のもんだと思ってますよ。」
「あ?」
「一緒に寝て、食って、悪さして、時々兵隊にしょっぴかれそうになって、必
死で逃げて。考えてみりゃ、以前の俺達じゃ考えられない結束ですよ。お頭です
よ。喧嘩が絶えないゴロツキだらけのあの町にふらりと現れて、派閥も何もかも
ぶっ壊して俺達荒くれ者どもまとめてくれたのは。」
そんな大層なもんじゃない・・・
・・・俺はただ
人間どもへの復讐の為に、なんでもいいから人員が欲しかっただけ。ただそん
だけだ。
・・・けど
「・・・くか?」
「え?」
「俺とテメーらは・・・家族みてーなもんか?」
「・・・そうかも知れません。」
「・・・けっ!」
「ぶべ!?」
次の瞬間、青年は小太り男のデコをピンと指で弾いた。
「えらそーに。お前らみたいなモブどもと家族扱いされてたまっか。」
「なっ・・・か、頭だって名前の設定ないくせにぃ!!」
「んだコラこの子豚デブがぁ!!」
「ぎゃあー!?」
「みんな大変だぁぁー!お頭がモトヤを豚肉のミンチに・・・!!」
「豚肉じゃねーよ俺人肉だよ!?つーか俺の名前設定『元揶』ぁ!?
何かやだぁ!?」
『家族』ね・・・
知らねーうちに・・・
無くしちまったもん取り戻せてたみてーだよ俺・・・お袋・・・
・
・
・
・
・
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・
・
そんな中、一人の白い着ぐるみを着た変なオッサンが、誰もいない森で目覚めた。
「・・・あれ。もしかして僕・・・
・・・忘れられ・・・てる・・・んだな?
デミテルさぁぁぁぁぁん!?カムバァァァァァァックぅ!!」
「ねぇデミテル様ぁ?リミィ何か忘れてるような気がするぅ。」
「気のせいだ。これは私の持論だが、大体忘れる物事というのは、実質どうで
もいい、この世に存在することに何の価値も無いようなことだから忘れるんだ。
そのまま忘却しておけ。生死に関することでもないだろう。そんなことよりラムネでも食べるか・・・」
「うん♪わかったぁ♪リミィ完全忘却するぅ♪あ!リミィもラムネ欲しい♪」
「やだ。これは私のラムネだ。誰にも手は出させん。私だけのラムネだ。」
「ケチぃ~。」
「・・・アタシは思い出したんだけど・・・・・・まぁいっか・・・別に・・・」
つづく
思うがままにあとがき
テストが終了した為三週間に投稿いたしました。REIOUです。待ってくれていた人は・・・いるかなぁ?
それにしてもこの小説、初期と比べると内容が劣化・・・している気がする。これは自分の努力が足りないのが原因なんだと思いますが。ごめんんさい。がんばって書きます。
さしねがましいことをお尋ねするのですが、ここまでの話の中で一番良かった話の話数を教えてくれないでしょうか?感想も頂けると非常に嬉しいです。今後の参考にしたいとおもいます。
自分は・・・どれだろう?うーん。自分も考えます。
次回 第四十一復讐教訓「世界の中心で愛を叫ぼうがなんだろうが相手に聞こえなければ意味は無い」
コメント
暇なときにここでこの小説を
読ませてもらっていますが劣化してるかな?
十分おもしろいですよ^^
Posted by: プイ | 2008年06月04日 13:57