可愛いアイツ
《可愛いアイツ》 著・藍嬬
「リ・オ・ン☆」
ルーティ・カトレット・・・ソーディアン・アトワイトのマスターは、そう、彼の名を呼んだ。
「なんだ、気持ち悪い。」
呼ばれた彼の名はリオン・マグナス。
こちらはソーディアン・シャルティエのマスター。
「あらら、気持ち悪いですって。まあ良いわ。今日じゃなかったら怒ってるけどね。」
「なんだ。本当に気持ち悪いぞ?」
「はいはい。わかりましたー。ここで問題。今日は何の日?」
「僕の知った事ではない。」
「なによ、少しも考えないで。
………今日はね、世で言う《ホワイトデー》ってやつ。」
「何だそれは。」
「アンタ頭硬いから簡単に言うわ。女性が男性にお返しをする日。」
「僕がお前に何かしたか?」
「まぁ、ほら、戦闘とかでお世話になってるし。
別にアンタだけに感謝してるんじゃないのよ?
ちゃんとスタンとかウッドロウとかにも感謝してるし。
あ、でも・・・ジョニーとコングマンは論外ね。」
「ふんっ、くだらん。」
「まぁ良いじゃない。はい、これ。」
ルーティが渡した物は、小さな懐中時計だった。
しかも、高そうな。
蓋には美しい模様が描かれており、趙遣いは軋むことなく動く。
しかも、中にはイチゴミルクのキャンディーが入っている。
守銭奴のルーティのことだから、期待もしていなかったリオンは面食らった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうしたの?感動して言葉も出ない?」
「あ・・・・・・・・・のは・・・・・・いだ。」
「え?」
「甘いものは、嫌いだ。」
「嘘つきなさい!!
あんたがこのまえアイスキャンディー屋の前で、
じぃーっ、と見つめてた事知ってんだからね!!」
「ぼ、僕はそんなこと・・・・・・!!」
「とりあえず受け取りなさい。」
「・・・・・・・・・・・・受け取るだけ受け取ってやる。」
「よろしい。じゃ、あたしはこれで。
スタンにも渡さなくちゃ、可愛そうでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふんっ。」
~数日後~
「何よ、このチビ!!」
この前の事が嘘のように、ルーティとリオンは喧嘩していた。
何分か言い合いをして、ついにリオンが捨て台詞を吐いた。
「・・・・・・・・・勝手にしろ!!」
リオンは、その場を後にする。
「なによアイツ。いい気になっちゃって。」
「まぁまぁ。」
なだめているのはスタン・エルロン。
これはソーディアン・ディムロスのマスターである。
「いつもの事だろ?」
なだめるのはいつもスタンの役目であった。
「ルーティさん。もう少し優しくしてあげてはどうでしょうか・・・・・・?」
そうアドバイスをするのはフィリア・フィリス。
彼女はソーディアン・クレメンテのマスター。
「あ、あたしが?無理無理。あいつ見てるとムカついちゃって。」
「そんな・・・。」
「仕方ないよ、ルーティだから。」
「それはそれでムカつくわね。」
フィリアはそんな会話をオロオロと見ていると、リオンが消えた方向に、
キラッ、と光るものを見つけた。
「・・・・・・アレはなんでしょうか・・・」
拾ってみると、高そうな懐中時計だということがわかった。
きっとリオンが落としたのだろう。
「ルーティさん、これ・・・」
「あ・・・・・・・・・。」
それは、ルーティが渡したもの。
ためしに開けて見ると、キャンディーの包み紙が入っていた。
中身は―――入っていない。
「可愛いトコあるじゃない。」
その後、ルーティが妙にうれしそうだった理由を知るものは
いないのだった。
☆~あとがき~☆
どうも、アイジュです。初投稿です。
チャットや掲示板でお世話になってます。
小説って難しいですね☆(文章能力のない人間です((笑
しかも季節外れと来ました♪
個人的にはデスティニー大好きです。
何か文句があったらザックリ言ってやってください。(チャットとかで
これからの参考にさせていただきます。
そして、ここまで読んでくださった方、感謝です。
でわでわ、またどこかで。