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ジュ―ダス・初めて(?)のお使い


ジュ―ダス・初めて(?)のお使い
 
「何故僕がキサマの届ける物を届けなくてはならない?」
「な事言うなよ、ジュ―ダス仲間だろ?」
そのロニの言葉でジュ―ダスが怒る。
「仲間だと・・・?キサマのようにバカばっかりやる奴を仲間だとは思ってもいないぞ!!」
「うわ、ひどー。でもコレ孤児院に届ける物なのに・・・」
「それは、お前達が育った所か・・・?」
ジュ―ダスの一言で、ロニかきょとんとする。
「何でそんなこと知ってんだよ・・・?そうか、仮面ストーカーだもんな。」
仮面ストーカーの言葉にジュ―ダスが反応する。
ロニはからかったつもりだったらしいが、ジュ―ダスにはそうきこえていない・・・。
「きさま・・・斬られたいらしいな・・・」
ジュ―ダスはそう言い、剣を鞘から出し、ロニを威嚇する。
「頼むよ、な・・・ジュ―ダス、な・・?」
「く・・・仕方がない・・・なら今度僕の頼みも聞くんだ!」
「わかったわかった」

クレスタに着いたジュ―ダスは、この街の子供の多さに驚きつつ、その孤児院を探した。
「えーと、確かこの辺だったと思うが・・・」
しかし、行っても行っても同じ光景のようにしか見えない・・・。
「おい、そこのガキ、ちょっと聞きたいことが・・・」
すると、さっきまで遊んでいた子供の1人が、ジュ―ダスに寄ってきた。
「すまんが、孤児院はどこにあるんだ?」
「なら、ついてきて~」
「く・・・」
ジュ―ダスは、恥かしながら、少年のあとをついて行った。

少年に案内されてきた孤児院は、以前来た時より大きくなっている気がした。
「ルーティ・カトレットは、いるか?」
ジュ―ダスは、孤児院の玄関で叫んだ。すると、奥から、ルーティが現れた。
「ハイハイどなた?」
「ロニの使いだ。コレを渡せと言われて来た。」
そう言うとルーティに、小さな箱を渡した。中身を見たルーティが「ああ、これね・・・」と呟く。
「では、僕はここで」
そう、言ってジュ―ダスが去ろうとするとルーティに腕を掴まれた。
「どうせなら、もう少し話して行かない?」
その言葉に、ジュ―ダスが、きっぱりと拒む。
「僕はそんなに暇じゃあ無いんだ。」
「ああ、せっかくマリアンさんにプリンの作り方教わって作ってたところだったのにな・・。」
ジュ―ダスが反応する。
(まずい・・・ばれてしまったのだろうか・・・?ならば別人を装わなければ・・・)
「すまんが、急いでいるのでな」
「そう、モンブランも用意してたのに・・・」
「用意だと・・?」
「ああ、何でも無いわよ♪」
(怪しいな・・・)
そう考えたジュ―ダスは、誘いを受けて見ることにした。
「ならば、断るのは失礼なのか・・・?」
「いえいえ、急ぎならいいのよ?」
「小腹がすいてきた・・・。馳走になろう。」
一瞬、ルーティの顔が、ニヤリと笑った、がジュ―ダスは気づかなかったようだ・・・。

「へえ~、ジュ―ダスって言うんだ。どう、うちの子達は・・・?」
「どうもなにもばかばっかりだ。」
「まあ、あの2人はね・・・。」
ルーティが苦笑いをする。
(それにしても姉さんは、年をとったのだな・・・)
「どうしたの?私の顔に何かついてる?」
そう言われ、とっさに考える。
「いや・・・つかれた顔をしてるな、と思ってな・・・」
「子供は好きでもこれだけいるとね・・・」
「そうか・・・」

しばしの沈黙が続いた。
「ところで、ジュ―ダスは私の知り合いの子供かな?」
「な、なにを言い出す?」
「カイルと同じぐらいだから・・・弟とマリアンさんの子供かな・・・とね・・・」
その言葉でジュ―ダスの顔が赤くなる。
「な・・・いきなり何を言い出すんだ・・・?」
取り乱したジュ―ダスにルーティが、笑って言う。
「違うなら良いのよ♪」
「違う!!!大体お前の弟リオン・マグナスは死んだのだろう?」
(自分で自分を死んだ、と言うのは不思議な感覚だな)
「あら、私は弟としか言ってないわよ」
(まずい・・・墓穴を掘ってしまった・・・そうだ)
「お前達のことは、英雄記念館とやらにかいてあったぞ・・・」
(われながら上手く隠しとうせたな・・・)
「まあ良い、僕はもおう帰るからな・・・」
「ハイハイ、あ、そうそう」
「?」
「隠すんならその話しに触れないようにしなさい、リオン」
ジュ―ダスは、リオンという言葉に反応する。
(・・・・ばれていたのか・・・・・・)
「誰のことだ?それは?」
ジュ―ダスはとっさに知ったかぶりをする。
「まあいいわ、じゃあ、2人を宜しくね、ジュ―ダス」
ジュ―ダスは、その言葉の後、もう暗い外に消えて行った。


「おお、帰ったかジュ―ダス、サンキューな!」
帰ってきたジュ―ダスにロニが感謝の言葉を言う。
「あれ、どこ行ってたの、ジュ―ダス?」
カイルはとぼけているのか、天然かわからないような事を聞いてくる。
「お帰り、夕飯できて先に食べてたよ。」
「いらん、馳走になってきた。」
「モンブランもあるのに?」
(さっきそれも食べてきたが・・・)
「モンブランだけもらう・・・。」
さすがのジュ―ダスも好物には勝てないようだ。
「け、ガキだな、ジュ―ダスもよ!」
ロニの一言に、ジュ―ダスが言う。
「そういえば、頼みを聞いてくれる、と言っていたよなロニ?」
ロニが、少し考えて頷く。
「ああ、1つだけな・・・」
その言葉にジュ―ダスが笑って言う。
「よし、ならば斬らせろ。」
「おいおい、それだけは・・・」
「冗談だ、僕は寝るから、騒がしくしないでくれよ。」
辺りが漆黒の闇になる頃には、ジュ―ダスの静かな寝息が闇に溶けていった。

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