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知られざる過去


題名:知られざる過去    作者:トーテムボール


ロニ「カイル・・やっぱりあれは、夢だったんだな・・・。いい夢だったよなぁ。スタンさんがいて、ルーティさんがいて、お前がいて、俺がいる…。」
カイル「うん。」
ロニ「でも、しょせんはただの夢だ。あんなもんで人は幸せになんかなれやしない。
カイル「そうだね・・・。」
その時、カイル達の目の前にぼんやりとした何かが現れた。それは時間が経つにつれ、徐々にはっきりしていく。


ロニ「!? あれは・・・スタンさん、来ちゃだめだ」
リアラ「無駄よ。これはあなた達の記憶・・。物事は記憶通りに進行する・・・。」
スタン『こ~ら、ロニぃ、また母さんの服に落書きしただろ?母さん怒ってるぞ?』
チビロニ『・・・。」』
スタン『・・・母さんだって何も本気で怒ってるわけじゃないからさ、(本気の怒りは俺に八つ当たりした分で消化されたからな)ちょっと謝ったら許してくれるって。』
チビロニ『・・・。』
スタン『一緒に謝りに行こう、な?』
チビロニ『・・・・いやだ・・。』
スタン『え?』
チビロニ『嫌だ!』
スタン『あ、ちょ、待てロニ!』
ずぼっ
スタン『へ?』
スタンの足が地面にめり込んだ
スタンの足元には落とし穴が掘ってあったのだ。
スタン『あ・・あ・・あ!?あああああぁぁぁぁぁ・・・!』
スタンの姿はあっという間に見えなくなった
ロニ「っしゃあ!」
カイル「いや、何ガッツポーズ決めてんだよロニ。」
ロニ「ぁ、いや、昔を思い出してつい・・。」
カイル「ってことはこの落とし穴、ロニが作ったの!?」
ロニ「ああ、俺が一人で頑張って作った!」
カイル「・・底・・見えないんだけど・・・。」
ロニ「掘るのに10日、出てくるのに20日かかった超力作だ!念のため食料を多めに持ちこんどいてよかったよ。、ま、それでも足りなかったけどな。ナハハハハハ!」
カイル「よく生きてたね・・・いや、この際それはどうでもいいや。それより、あの・・・父さんは・・?」
ロニ「流石の英雄スタンもこのロニ様が掘った落とし穴には敵わなかったらしいな、うん!」


カイル「リアラ、これより前の時間でロニを殺しとけば、歴史は変わって父さんは死なないんだよね?」
リアラ「ええ。」
ロニ「ま、待て待て待てカイル!お前何を考えて・・・」
リアラ「いいの?カイル。」
カイル「俺はそれでいい。・・リアラは?」
リアラ「いいわ。あなたについて行くって決めたから・・・。」
ロニ「や、ちょ、ま・・」
カイル「レンズは・・これだけあれば往復できるな。よし、行こう!」
ロニ「いや、ちょっと待てって!俺を殺したりしたら・・・~っとぉ、そうだ、ナナリーだ!俺が死んだらあいつが悲しむから!な!?」
カイル「いや、大丈夫。ロニが死ぬのは「ナナリーと出会うより前」だからナナリーが悲しむことは無いよ。」
ロニ「あ・・・、・・ぉ、俺がいなけりゃ、お前は冒険に出ないんだぞ!それでもいいのか!?」
カイル「いや、俺なら一人でもそのうち冒険に出るよ、きっと。・・・・ていうかさ、さっきからナナリーがどうとか俺がどうとか言ってるけどさ、本当は自分が助かりたいだけなんだよね?自分が助かるためなら仲間を人質にとるようなマネしていいの?」
ロニ「な・・ぃ、いや別にそんなんじゃ・・・。」
ロニ(そんなんじゃない・・よな?俺はそんな奴じゃ・・  何か、自分に自信が持てなくなってきた・・・。・・って、そうだ、今はそんなこと考えてる場合じゃねぇ!!)
ロニ「か、カイル!ちょっと聞いて・・・・カイル?」
そこにカイルの姿は無かった
ロニ「ぁ、あー!?戻って来てくれー!!!」


そして彼は人々の記憶から消え去った…

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