涙
ユークリッド城の闘技場で観客がざわめいている。
司会者「やりました! 時空の剣士 クレス・アルベイン!前代未聞の8連勝、達成です!」
クレス「今の僕に、勝てるやつはいない!」
クレスは、観客に剣を向けて、アピールする。
???「勝てるやつはいないとな?ならば私たちを倒してみろ!」
闘技場内に突然、2人組が現れる。格好からして忍者である。
クレス「何者だ!」
???「ふっ、貴様のような男がダオス様に挑もうとするとは。」
クレス「ダオス様?ということは貴様ダオスの手下か?」
???「・・・行くぞ!」
2人の忍者は、何も言わずにクレスに突撃してきた。
クレス「2対1なんて卑怯だぞ!」
???「問答無用! 曼珠沙華!」
クレスに向かって炎をまとった手裏剣がクレスを襲う。
クレス「ぐわああああ」
クレスが膝を突く。
??「休んでる時間はないわ。 雷電!」
もう一人の、女忍者が剣を投げて、その突き刺さった場所に雷が落ちてきた。
クレス「くそぉ、忍者のスピードのあるコンボ攻撃、見切れない!」
???「当たり前だ!見切れるのは、私らの主『ダオス様』だけだ!」
??「次で終わりだ~!」
女忍者がクナイを取り出してクレスに投げる。
クレス「ここまでか・・・」
クレスが目を閉じる。
ギィーン!
金属音が場内に響く。
クレスがそっと目を開ける。すると、クレスの前に一人の忍者が立っていた。
クレス「すずちゃん!」
助けた忍者はすずであった。
すず「クレスさん、大丈夫ですか?これからは私も戦います。」
???「すずよ。おまえではクレス・アルベインの足手まといになるぞ!」
??「実の親を切れるというのか?」
クレス「何だって? すずちゃん、あの2人は君のご両親なのか?」
すず「そうです!藤林銅蔵と藤林おきよ、私の父と母です。」
クレス「すずちゃん。君はやめたほうがいい!両親を切ることなんて君にはできないだろ!」
すず「大丈夫です。忍者というのは非情でなければならないのです。私は小さいころから頭領にそう教えてこられました。父と母が掟を破ったので頭領に命で父と母を切りにきました。」
銅蔵「覚悟はできているようだな、すず。では、行くぞ!」
おきよ「曼珠沙華!」
炎をまとった手裏剣がクレスたちに向かう。
しかし、クレスたちはしっかり防御する。
銅蔵「まだ終わりではないぞ!鎌鼬ぃ~!」
剣から真空破がクレスたちに襲いかかる。
クレス「くらうか! 襲爪雷斬!」
クレスが雷と一緒に攻撃を仕掛ける。
すず「飯綱落とし!」
銅蔵「なかなかやるではないか。これでどうだ! 写身!」
クレス「ぐわああああ。何なんだあの技は?」
すず「あれは、伊賀栗流忍法『写身』分身をつくり本体と一緒に攻撃するので威力が2倍になります。 攻略法は、一気に攻撃を仕掛ければ・・・」
クレス「よーし。すずちゃん!連続攻撃で1人ずつ倒そう!」
すず「わかりました。」
クレスたちがまず狙ったのは、銅蔵であった。
クレス「秋沙雨!」
すず「五月雨!」
2人とも、高速の連続切りで銅蔵を切る。
銅蔵「ぐふっ」
銅蔵はその場に倒れた。
おきよ「クレス・アルベイン覚悟!」
おきよは、秋沙雨の技の隙を見逃さなかった。
すず「そうはさせません。」
おきよの背後にすずがまわる。
おきよ「いつの間に後ろへ!」
すず「鎌鼬!」
さすがのおきよも背後からの攻撃はかわせなかった。
銅蔵「すずよ、あの世に行く前に聞いてほしい。洗脳を受けた私は最低な忍者だ。だがお前は立派な忍者として・・・」
そういうと、銅蔵は息を引き取った。途中で言葉が終わったが、すずには何といっていたのかは分かっていた。
おきよ「すず、よく私たちを倒してくれました。洗脳されて操られるより、私はあなたに殺されて死んだほうが・・・そして、クレスさん。私たちはとても失礼なことをしました。」
クレス「いえ・・・」
おきよ「クレスさん、すずをよろしくお願いします・・・」
おきよも息を引き取った。
クレス「すずちゃん・・・」
クレスはすずに近寄って言った。
すず「忍者は、非情でなければいけないのです。こんなことで泣いてはいけません。」
すずはそういうが、彼女の顔は辛そうであった。
クレス「何て言えばいいのか分からない・・・こんなときに僕はどうすれば・・・」
すず「私、しばらく散歩していきますね。」
クレス「えっ?あっ、わかった。」
すずは、そういうと近くの森の中へと歩いて入っていった。
外は雨が降っていた。
すず「私は、父上と母上を・・・」
すずは、泣いていた。
クレス「すずちゃん!」
クレスが来たことに驚いたため、すずはとまどっていた。
すず「クレスさん。どうしたんです?」
クレス「いや、君が心配だったから・・・」
すず「私なら大丈夫です。」
クレス「でもさっき泣いていたんじゃないのかい?」
すず「泣いていません!忍者は、非情でなければいけないのですから。」
そういうとクレスの横を通り過ぎようとする。
クレス「僕は思うんだ。例え忍者でも、掟があったって仲間の前では感情を表したっていいんじゃないのかな?」
すず「クレスさん・・・うわ~ん」
すずは、クレスの胸で泣いた。
雨が強くなってきたので、クレスはすずに自分のマントをかけてあげた。
クレス『やっぱり、我慢していたんだ・・・無理もない、いくら忍者でもまだ小さいんだ。』
クレスは、このとき決意を決めた。
『たくさんの人を殺し、たくさんの忍者を洗脳したダオスを僕は絶対許さない!』
完
あとがき
長くなってしまいましたね。友達からPの小説を書いてというリクエストがあったので、僕の印象深い、闘技場での戦いをクレスとすずをメインで書きました。今度はSのゼロスの死を書いてみようと思います。