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ダオス城でパーティ

―――いかなければ―――

ふいに、ダオスは立ち上がる。
その足取りにはしっかりと、決意が込められていた。
そして、目の前の広大な宇宙へと歩を進めた。

―――はやく、1秒でも速く―――


ダオスは片手に印を結び、呪文を唱える。
【時間転移】の呪文、ダオスはここから何処かへと旅立とうとしているのだろう。


―――護るべき者達のために…私は、死ぬわけにはいかない…!!―――


「時間転…」
「ダオスさま~! どこ行くんですか~?」
「まだパーティは終わってないですよ~?」


遠い時に旅立とうとするダオスを引き止めたのはウィッチとプロフェット、
ダオス城に住み込みで働く者達である。

「いや、その、まあ・・・やはり仕事をだな?」
「そんなのしなくていいですよ~」
ウィッチがにっこり笑いながら言う。仕事中は真面目なウィッチも、普段はこういったことが好きなのだ。

「いや、あのな? 私は魔人として、仕事がな?」
「もう後は時の勇者に殺されるだけじゃないですか~。さ、いきましょ~!!」
「殺されるっていうなぁ! って、おい、やめろ、だれかぁぁぁ~!!!」
プロフェットに引きずられ、ダオスは奥の部屋に消えていった。


さて、このパーティ、元々は、最後の戦いの前に盛り上がろう、というものだった。

「(この惨状は…いったい…)」
ダオスの目の前には………1部、地獄絵図。
にこにこ笑うプロフェットの隣でウィッチドクターは泡を噴いて倒れ、ブラックナイトは何も無い所で叫びながら大剣を振り回し、ブードゥープリーストは壁を食べるという奇行に走り、ニンジャマスターはなぜかロープで宙吊りにされていた。

もちろん、普通に楽しんでいる者もいるし、ダオス城にいる者全員の大きなパーティなのだから、これくらい仕方ないのかも知れないが、少しやりすぎだと思った。
ダオスも、皆にお手製の(変な)飲み物やら、酒やら、(異臭を放つ)食べ物やらを勧められなかったら、逃げ出したりしなかっただろう。

「いったい…なにがあったんだ?(さっきよりひどいぞ!?)」
「私たちの料理を食べたら皆こうなっちゃって。」
(なにを食べさせたんだ!?)


「サマエル! サモンデーモンをパーティに参加さすな!!」

「アークビショップ、ウィッチにからむな!」

「ROAMEYE? …そうか、口が無いから食事が食べられないのか。」

「ネビロス! 槍は置け! 危ない!!」

「サコン! ハタモト! 戦うなぁ!!」

「ゾンビがベランダから落ちたぞ!!」

「爆弾を置いたのは誰だぁぁぁ!!!」


しばらくして、ダオスも慣れてきたのかもう何も言わなかった。

…否、言えなかった。

最初は言っていたが、つかれたのだろう、壁際で体育座りをしている。
その姿は薄っすらと哀愁が漂っていたりいなかったり。

そんなダオスの事を気にかける者も無く、会場は大盛り上がりだった。

「おりゃぁぁーー! いくぜぇぇぇぇぇ!!」
「勝負だぁぁぁぁ!!」
「やってやらぁぁぁ!!」

…1部、喧嘩


「ふう…。」
「疲れましたか?」

ベランダで、風にあたりに来ていたダオスに、ウィッチが話し掛ける。
さっきとは違い、落ち着いた表情だ。

「まあ、少しな。」
闇に寄り添って光る星達を眺めつつ、小さく答えた。

「皆、あなたを慰めるつもりだったんですよ?」
クスクスと笑いながら、ウィッチが話す。
「反って迷惑でしたね、だんだん普通に楽しんでましたから。」

会場の声が、やけに響く。さわがしいが、少し、名残惜しくもある。

「…まあ、楽しくはあったな。」
ぼそりと、小さく、本当に小さく答えた。ウィッチは耳を近づけて聞き取ると、くすりと笑った。

「なにがおかしい。」
いぶかしげに訊き返すが、ウィッチは何も言わず、ただ、笑っているだけだった。

「…最近、考える事がある。」
しばらくたって、ダオスが話し出した。
ウィッチは続きを待っている。

「我々は、幾度となくこの最後の時を過ごしてきた。同じように戦い続けた。
そして、結末は常に変わらぬ、必ず私は死に、その後、大いなる実は私と共にデリスカーラーンへと運ばれる。変えようとしても、けして変わらぬ。」

淡々と話すダオスを、ウィッチは何も言わず聴き続けた。

「同じ時を繰り返すなら、なぜ我々に記憶がある? けして変わらぬなら、この記憶も不要ではないか?」

「まあ、べつにいいんじゃないですか、それでも。」
あっさりと、簡単にウィッチは答えた。

「べつに…いい…?」
「はい。そのおかげで、こうして話しているんですから。」

「もし、何も覚えてなかったら、この会話も無かったんですよ? 皆も、こんなに仲良くなかったですし…ね?」
なだめるように、ゆっくり話し掛ける。

「それでは、皆の所に言ってきますね。よ~し!暴れるぞ~!!」

走りながら部屋の中に入っていく背中を見つめながら、ダオスは自分に言い聞かせるよう
に言った。
「この記憶も、永久に繰り返す命も、私に科せられた罰だとしても…」


「悪い物でも、ないかもしれんな。」

―――共にいる、仲間がいるなら―――

その後、ダオス城には二日酔いに苦しむ者たちの姿があったとか…
「貴様らぁ…今日は奴らが来る日だぞ! それでどうする!!」


~あとがき~
 初投稿となります。Gスラッグです。はじめまして。
少し短かったでしょうか? 個人的には気に入った世界観なのでここに書くことができて幸いです。
あくまでここはゲームの世界、ダオスはそのことを知らず、しかし過去(1周目)の記憶は残っている。同じ時を、永遠にくりかえす。   そんな感じで書きました。
それでは、ここまで読んでくれてありがとうございました。
次回作も、機会があれば書かせていただきます。それではさようなら。

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